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ドイツの暮らし「壮大なる散歩道」

ドイツ北西部の片田舎にある小さくて綺麗な街デトモルト。そこに私は長年住んでいました。田舎なので娯楽施設、商業施設はほぼありません。家から10分弱ほど歩くとそこには壮大な景色がありました。そこでの「散歩」は私にとってとても大切な時間でした。どこまでも広がる田園風景、青い空、綺麗な空気。遠くに見える風力発電の風車、、、。色々とゆっくり考えをめぐらせたい時はこの風景を眺めながら歩き、なにも考えず頭をからっぽにしたい時にはこの遊歩道をジョギングしていく、そんな時この場所はうってつけでした。散歩が楽しめるのは春から夏にかけての限られた時期でしたが、そのぶん春が来るのが待ち遠しい、そんな素敵な場所です。現代の忙しい日常、テレビからはいつもやかましく音が流れてくる、、、。生活が便利になると同時に現代に生きる私たちは「癒し」「音のないとき」を感じることが少なくなってきていると思います。しかし、毎日が忙しいからこそ、ふとした時に空を見上げる瞬間、ああ、ここの眺めは好きだな、といった「こころの休憩時間」を持ってあげる、それは15分の散歩でも良い、時間があるなら運動など、「からだとこころ」をいたわってあげる時間が大切なのではないか、と思うのです。作曲家のヨハネス・ブラームスは24歳の時から3年間、このデトモルトでリッペ=デトモルト侯国に音楽家として招かれ宮廷に勤務しました。ここで管弦楽曲セレナード第1番が作曲されました。ブラームスも当時の街の中や森へつづく小径を散歩などしていたのでしょうか。この曲の冒頭は、雄大な自然の風景を表現した低音弦楽器郡の伴奏からはじまって、牧歌的なホルンのメロディで幕を開けます。ちなみにデトモルト音楽大学のコンサートホールで本番始まりのチャイム(合図)として使われています。(撮影 2019年6月)