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【ドイツの暮らし】ドイツの冬②暖炉と薪と炎のお話し

ずいぶんと朝晩が冷え込むようになりました。空気も乾燥して晴れの日などは空の色がきれいですね。
この時期のドイツは「寒く、天気も悪く、暗い時間が長い」です。今日のテーマ「暖炉と薪」をお話しする前に、ドイツの冬でもう一つ思い出したことがありました。私がドイツに渡ったのは10月だったのですが、ドイツの10月はもう晩秋となります。毎朝7時40分の電車に乗って隣町の語学学校に通っていました。12月に入ると本格的に寒くなり、その年は今まで見たことのない積雪量だったのを覚えています。そんな時期の朝7時過ぎに家の外に出ると「ジーンズがパリッと凍る」というのを初めて体験したのでした。そして隣町の駅の電光掲示板には「マイナス12度」と表示される日々でした。そんな中私が学んだことは、「真冬にジーンズ一枚だと寒すぎる、タイツを下にはかないとダメだ」ということでした。

さて、お話しを今日のテーマに戻しましょう。早速ですが1枚目が運ばれてきた薪の山、2枚目は薪を全て移動し、3枚目のように積み重ねて終わりです。

毎年9月半ばになると暖炉の薪がまとめて運ばれてきます。隣町にある木材を扱っている会社から暖炉に使う専用の薪を買うのです。すぐ使うにはまだ湿り気が残っていますので、1年間屋根のあるスペースに積み上げておいて乾燥させて次の年に使う仕組みです。この薪の山をガレージの横の薪置き場まで運ぶのですが、これが想像以上に重労働で、ガーデニング作業用の厚手の手袋をするのはもちろん、手押しぐるまに薪を積んで運び、もう一人がその薪を積み上げていく作業が数時間続きます。次の日は腕が筋肉痛で上がらないほどです。そしてこのぐらいの時期から暖炉に薪をくべて火を入れるようになります。ドイツの家の中はほとんどと言って良いほどセントラルヒーティングが完備されています。それは長く寒い冬に対応するために家の作りを合わせているのです。ちなみにクーラーを設置している家屋はほとんどなく、お店などでも設置していないところはたくさんあります。暖炉に火を入れたらその部屋はほんわかと暖かくなるので、セントラルヒーティングは切ります。夜寝る前に暖炉の炎はほぼ消えかかっているのを見てから寝るのですが、その残った熱で部屋は次の日の朝も室温はあまり下がりません。

前にもお話ししましたが、私は暖炉の炎を眺めるのがとても好きです。ずっと見ていて飽きることはありません。勢いよく燃える炎、刻々と形を変えていく炎、小さくなっていく炎、次の薪をくべてまた勢いを増していく炎。いっときとして同じ形がないのですが、その姿をおさめておこうと撮った数の写真は数えきれません。

その暖炉の横壁に背中をもたれかけさせて、ゆったりとした気分で飲む赤ワインは最高に美味しかったです。時には友人を呼び、床に毛布を敷いて赤ワイン片手にお喋りをする時間は私にとってとてもゆったりとして心が落ち着く大切な時間でした。

クリスマスマーケットに行く、家で暖炉に火を入れてゆったりする、庭でミニキャンプファイヤーのようなつもりで薪をくべて火を入れて、毛布にくるまってホットワインを楽しむ、そんな楽しみ方もありました。このように、冬の寒く長い夜の時間を快適に過ごそうと、ドイツの人たちは昔からいろいろな工夫をしてきたのですね。
今日はこのへんで、今夜もありがとうございました。(2019年12月16日)