Homeブログオーボエを吹くということ

なぜ、記事を書き続けるのか。

昨年の秋の暮れごろ、このホームページを立ち上げて色々なことをブログの記事として書き続けてきました。なぜやっているのだろう、なぜ続けていくのだろう、少し考えてみました。

かつて、クインテットの仲間でファゴット奏者のディアナという人と話をした時のことです。卒業試験を控えて、練習をしていた彼女、机の上には大きなバインダーが3つ置いてありました。私はこのパンパンになっているバインダーは何なのか?と聞きました。彼女は「今までの自分のファゴットに関することの全てよ」といって中身を見せてくれました。今までのレッスンでの自己評価、詳細な内容、オーディションの結果と分析、リードに関するあらゆる情報と分析、リードレッスンでのメモ、、、、とにかく彼女はファゴットに関する全てのことを集めて閉じていました。「このバインダーなんて一つだけで満杯になっているけど、これは全部受からなかったオーディションの招待状と課題のプリントに講評のメモたちよ、もう入りきらないわよね」と。自分は何でも書いておかないとすぐに忘れてしまうんだ、そしてそれを繰り返し見続けるのだと。そんな彼女は、今はケルンにあるオーケストラのファゴット・コントラファゴット奏者として活躍しています。とにかく気づいたことは全てメモに取るという実践を目の前で見ました。

かつて自分が長年働いていたオーケストラの同僚、オーボエ奏者のミヒャエルに言われたことがあります。リードを作って売るだけではなくて講座を開いたらいいじゃないか。その時はすぐに忘れていたのですが、後になってデトモルト音楽大学でリード作りの非常勤講師を勤め、あらゆるタイプのリードと、さまざまな演奏の仕方の学生たちと向き合って、彼らなりのベストな方法をそれぞれのやり方で見つけていくお手伝いをしてきました。その中でわかってきたことが色々とありました。

リードのタイプは違っても、楽器のメーカーは違っても、人それぞれの口の形や体格が違っても、「基本となる大事なこと、目指すことは同じだよね」ということです。そのために必要なことは質の良い材料、適切な機能、健康的に吹ける息の扱いとそれを支える体、そして自分の中のうたう心です。

私も、色々と音楽日記をつけてきました。重要な部分を切り取ってファイルに閉じてまとめて日本に持って帰ってきました。デトモルト音大でのリードレッスンでは、さまざまなことをメモにとってきました。たくさんの人が持つ疑問に対してこんなときはどこをどう修正したらどうなるよ、というメモもたくさん残してきました。

私の考えは、色々なタイプや種類があるでしょうけど、目的は同じ。それに向かって私なりのやり方を発信していこうというものです。私が発信するものは、どちらかというとリード販売促進のためではありません。けれど、目の前にある膨大なメモとファイルの山を、この部屋だけに置いておくのはもったいないな、と思い、誰かが見てくださって、何かの役に立てるのなら、それでもう大きな意味があったのかな、と思って発信しているのだと思います。

音楽とは文字通り、喜びと楽しみがあってこそのものです。そう思いながら、これからも少しずつですが記事を書き続けていこうと思います。今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★

(2020年12月31日)