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【大事なことば】⑩緊張を良いものにするために〜その4『どこに意識をもっていくか』〜

前回は脱力ということについてお話ししました。重要なまとめとしてここにもう一度ご紹介しましょう。

★緊張して体に余計な力が入ってしまった → ★もっとリラックスできれば良かった → ★でも、集中すべきところはして、あとは力を抜きたい → ★どうすればいいのか → ★力を抜きたい場所というのは、意識すればするほど力が逆に入ってしまいがち → ★では逆の考えで → ★力をこめる、意識をもっていくべき場所をはっきりと定める → ★そうすれば必要な所は意識できて、それ以外の所は意識から外れるので力が抜けやすくなるのでは → ★落ち着いた心持ちで、重要な所ははっきりと力が込められていて、いつでもスタートできる感じ

緊張をする場で緊張をするのは自然なことです。その上で、緊張感を持って、心は落ち着いて集中している、余計なところに力が入っていない状態を少しでも作るために、どこに意識をもっていけば良いのでしょうか。これについては以前も何度かお話しした「支え」に重なるところが多いので、詳しく書くというよりも短くわかりやすく書き出してみましょう。

ゆっくりとした呼吸、特に吐き出すときにゆっくりと自分の中を見つめるように

足裏感覚は?地面にしっかりと足はついているか?

いわゆるお腹の支えという場所、おへその下あたりにずっしりとした重みを感じているか

アンブシュア、しっかりとリードを巻き込んで支えているか

キイを抑える指先の感覚、一音一音どのキイを抑えているか指先がしっかりわかっている

この順番には理由があります。支えを作っていくには体の下の部分から意識をしていくのが良いからです。まずは地に足をつけてからです。最初から全部をきっちり意識するのは難しいと思いますが、こういうポイントがあるのだな、と知って少しずつ試してみられてはどうでしょうか。

次に、私が最近経験した「緊張した場」でのことをお話ししましょう。卒業式にステージ上のピアノで「君が代」と「校歌」を演奏した時のことです。オーボエの演奏なら大丈夫なのですが、さすがに何百人もの前でピアノを弾くのは初めてなので、とても緊張しました。そこで私が自分の出番までに、そして次の出番まで待機していた時に実践したことは次の通りです。

★落ち着いてゆっくりとした呼吸とそれに伴って意識を自分の中に持っていく

★楽譜を見ながらイメージトレーニングをする

★全身にぐぐぐっと力を込めて、一気に脱力する

とても緊張する場でしたが、これらを実践したおかげで無事に演奏を終えることができました。今回、特に効果的だったのが「全身に力を入れて一気に力を抜く」ということです。このおかげで一時的ではありますが脱力をしている状態を感じることができます。あとは落ち着いた呼吸でそれを保つだけでした。最初の「君が代」はとても緊張感の漂う雰囲気でしたが、最後に「校歌」を歌う頃には卒業生たちの気持ちも盛り上がってきて声もとても良く出ていたので、その雰囲気と思いに私も花を手向けたいという気持ちになり、とても良い演奏ができました。こうして「会場の雰囲気を味方につける」ということも大事ですね。言い方を変えると「お客さん、共演者は敵じゃない、とても大切な味方だ」ということですね。

いかがでしょうか。なかなか一度に全てのことを実行するのは難しいかもしれませんが、どのようにして私が緊張を良いものにしようとしているか、ということが伝われば良いな、と思います。そして何よりも大事なのは、音楽が奏でられるって素晴らしいことだ、ということです。今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

音楽に楽しみと喜びを★ Viel Spass und Freude am musizieren!!