歳とともに、または意図せず体力の衰えがやってきた時に今までのように元気いっぱいオーボエが吹けなくなる時は必ずきます。今回はそんな時にリードの側から、そして奏者の側から何ができるのだろうということについて考えてみました。
人は歳をとるとあらゆる箇所の筋力が衰えてきます。スポーツ選手も差はあってもある年齢に達したら引退します。けれど、楽器を吹いている人たちは40歳代で体力の衰えを理由に引退する例はあまり多くないと思います。しかしパワーが減っていくことは確実です。でもこれまで通りオーボエを吹きたい。そんな時リードはどうしていけば良いのでしょう。また演奏に関してはどういったことに気をつければ良いのでしょう。

リードに関して言えば「楽に音が出せるもの」これに限ります。音色も大事ですがとにかく機能です。発音しやすく抵抗感は割と少なめに、音程もちゃんとはまるものです。これに関しては私自身もそのようなイメージを持って作れば出来ます。
そこから先の話ですが、ある程度音色が開かないように保ちたいのであればリードの抵抗感は少なからず残ることになります。それを重くて吹けないとなったらこの話はそこまでなのですが、、、。このテーマは「少し抵抗感はあるが吹けそうだ、ただ体力の衰えに対してどうやって持続して吹けるようにしていこうか」というものなので、それに関しての私の考えをお話ししていきます。

これはもう何度もお話ししていることですが「リードのみのピーピー音(ピープセン/Piepsen)を継続して行うことが一番効果的なのかなと思います。オーボエを吹いていく上で大事な3つのポイントは「足裏感覚(地面としっかり繋がっているか)、丹田の感覚(お腹の低い位置に重みを感じているか)、そしてアンブシュア」です。
リードを支える口の周りの筋肉は放っておくとすぐに衰えていきます。だから年齢とともにほうれい線も気になりますしほっぺたのたるみが歳をとったと感じる/見えるわけですね。それはその部分が繊細で弱い筋肉でできていて、普段は特に鍛えるようなことが必要ない部分だからです。
その3つ目のポイントをリードのみのピーピー音(ピープセン/Piepsen)を通して少しずつで良いので継続して鍛えていってあげれば、安定した音を出すということに関してはかなり達成できるのではないかと思います。
薄すぎるリードは音色のみならず音程に関しても逆にコントロールしにくくなり、結局はアンブシュアへの変な負担が増えて自由な演奏が困難になると思います。
大小の差はあっても「その人や状態に応じた適度な抵抗感のあるリード」は音程や音色の安定、音量の幅、表現の幅を広げていってくれます。そしてそれを実現させるには「少しずつで良いのでピーピー音(ピープセン/Piepsen)でアンブシュア周りの筋肉を目覚めさせてあげること」が最も大事なのかな、と思うわけです。ちなみにそのピーピー音ですが基本は「H(シ)」の音が良いでしょう。この音を何秒か持続して吹く。この繰り返しです。

ドイツにいた時に定期的にリードを送っていたオーケストラのオーボエ奏者がいます。その方は定年間近まで首席奏者としてでバリバリ吹いていましたが60歳手前になり急に体力が低下してとにかく楽なリードが必要だ、という状況になりました。試行錯誤を重ねましたが結局は「軽いけれどもハートの部分は適度に厚さを残す。その代わりそれ以外は薄めで」という形に落ち着きました。このような例は他の方々でも経験しています。
その人の今の時点での状況を把握すること、そしてそれに合ったリードを用意して無理のない範囲で鍛えるべきところは持続して鍛える。これが自由に音楽を表現していく、何よりできるだけ長く楽しくオーボエを吹くためのキーポイントなのかなと思います。今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
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