ホームページを新しくして多くの方々にブログを読んでいただいているようで本当にありがとうございます。記事も大量になってきたこともあり改めて私が大事に思っていることをまとめてみようと思います。前回は「リードの機能」についてでした。今日は「体の3つの支え」についてです。

オーボエを演奏していく上でベストなパフォーマンスを可能にするために助けになるのは①足裏感覚、②お腹の下に重みを感じる、③アンブシュアの維持だと思っています。これやあれをどうしろこうしろと言ってもいまいち実感がわかないかもしれないので、今回は「ネガティブな面」から見てあぁそうだなと納得していただいて「ではどうすれば良いのか」というアプローチの仕方でお話ししましょう。自分も含めて失敗経験からくる嫌〜な感覚は中々捨て去るのが難しいわけですが、だからこそ実感もしていただきやすいかと。

①足裏感覚: 浮き足立つという言葉があるように緊張してコントロール不能状態になると地に足がついていない感じがしてふわふわになり演奏にも悪影響が及びます。「タイプ」によって足の裏の前方後方、左右変わってくるでしょうが私は大体踵のあたりに重みを感じるようにしています。ステージの床、地面、大地と足の裏が繋がっている感覚はまるで根を深く張った樹のようで安心感をもたらし安定した演奏に繋がっていきます。

②お腹の下に重みを感じる: 緊張して(するまでは良いのですがそれが上手く制御できなくなり)アガる状態になったら呼吸が浅く速くなって意識が上へ上へといってしまい落ち着いて安定した演奏が難しくなります。決して腹筋に力を入れるというのではなくお腹の下あたり(丹田)にずっしりとした重みを感じてそれよりさらに下に向かって息をゆっくり長く吐いて吸うということを繰り返すと気持ちも落ち着いて外側ばかりに向いていた心の目が内側にきて(内観の一種と言えるかもしれません)重心が下がり安心できる安定した演奏につながっていきます。

ここまでは多くの方が「そんなの知ってる、やってる」と思われるでしょう。そして最も大事なのは次の③アンブシュアの維持です。

③アンブシュアの維持: 正確にはリードを支える(包み込む)アンブシュアの形を柔軟に維持し続けることです。私たちは自分で思っている以上に無意識のうちにアンブシュアの微妙な操作で音程や音量などをコントロールしています。自分自身が経験しているのでとてもよくわかるのですが、アガってしまいリードを支えるアンブシュアの感覚を失って音程はおろかとても苦しい演奏になってしまった苦い経験は1度ではありません。本当に悔しいです。どう演奏したいか思いはあるのに音やリードがコントロールできない。緊張がアガりになってしまい演奏が不安定になってきそうな時に拠り所になるのは「リードを支える(包み込む)アンブシュアの形を柔軟に維持し続けられること」で「そのことによって音程を安定させて息の圧力も維持できる」ことができ「安心して自分を信じて自由な演奏ができる」ようになります。

自分自身が苦い経験しているので(泣)この③がとても大事だということをかなり確信を持ってお伝えできます。普段私たちは無意識のうちにアンブシュアにかける圧力(噛むのではなく包み込む)を微妙に変化させながら音程を変えたりニュアンスを変えたりして演奏しています。(たった一つの、例えば真ん中のCを吹くアンブシュアの圧力だけで音階を吹くと第2オクターブの音程が全てぶら下がります)それを普段から意識してあげて、さらにトレーニングしてあげることで「難しい場面になっても大事な拠り所として安心できるポイント、いわゆる踏ん張りが効くポイント」となるわけです。そのトレーニング方法とは「リードのみのピーピー音/ピープセン/piepsen」です。これに関しては今回は説明を省きます。
この3つの支えであるポイントはうまく繋がって連携してくれています。一度に全ての支えが上手く意識できなくても何か一つ上手く機能すれば他の支えも連動して機能してくれるようになります。

そして最後に。それらの支え/拠り所をもっともっと上手く機能させるために必要なことは「あなたはどう歌いたいですか?どう奏でたいですか?どんな思いを聴いてくださる人に伝えたいですか?」ということです。
音楽に楽しみと喜びを★Viel Spass und Freude am musizieren!