『当アトリエを訪れてくださる方、東京と横浜で直接お会いする方々、仕上げたリードを目の前で試していただき必要に応じて修正し、ピープセンについて実践を踏まえてお伝えしてどのように効果的に充実した音を鳴らすか探っていく。』このような活動をこの8ヶ月間で集中的に行ってきました。その中で気付いたこと、そして皆さんにもお伝えしたいことをお話ししましょう。これは、特定の誰かといった話ではなく、色々な人に当てはまると思われますので、ぜひご自身に置き換えて読んでみてください。

決して軽くはないリードを用意して吹いてもらいました。まずはピープセンです。これまでに私が発信してきたことをしっかりと実践してくれています。リードを包み込むアンブシュアの形も良さそうだしそれを維持する筋力もありそうだ。ピープセンに関しては言うこと無しです。
次にリードを楽器に付けて吹いてもらいます。息の量がしっかりある、むしろ吹き込みすぎなぐらいだ。そして硬質な響きがする。音量は大きめだが硬く散らばったような音質だ。リード自体が軽くないのでずっと吹き続けるのはきついだろう。これが私の見立てでした。

次にご本人に「どんな感触のリードか」言葉にして表現してもらいました。以下はその会話です。
「軽いリードです」
私「もっと重い方が良いですか」
「そう思います」
私「このリードは決して軽くないです。これ以上重くすると演奏自体が苦しくなると思います」
皆さんにも似たような経験はありませんか。これはリードが軽いのではなく、吹き方に原因があります。そしてこれは改善可能なテーマです。ピープセン自体はきちんと出来ている、では何を改善したら良いのでしょうか。

ピープセンは良いはずなのに楽器にリードを付けて吹いた途端に散らばった音になってしまう理由は「ピープセンをしている時のアンブシュアや息の圧力といった感覚をリードを楽器につけて音を出した途端に失ってしまっているから」です。おまけに吹き込みすぎている(余計な息が余ってしまう)ので音が散らばります。そしてピープセンでつかんだ感覚をそのまま楽器に当てはめてピンポイントで鳴らせていないことが原因です。
おそらく、オーボエから出てくる音を「もっと強力なものにしないといけない」と思うあまり吹き込みすぎるのでしょう。息が余って音の響きを集められないと音は散らばったように聞こえます。一生懸命頑張っても音自体は凝縮されていないので響いていません。結果的に鳴っているという感覚が掴めないために更に吹き込んでしまい直接的でキンキンとした音になります。さらに厄介なことは、リードを効率的に鳴らせていないために吹き込む空気が上滑りしてしまい(息をちゃんと活用できていない)「このリードは軽い」と勘違いしてしまうのです。

ここまでかなりシビアに書いてきましたが、実際思い当たるな、、、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際のリード調整会やレッスンでは私が指摘をするとすぐに改善された方も多くいらっしゃいました(それには対面で直接お伝えすることが大前提ではあるのですが)。そしてここ8ヶ月間で私が多くの方々にお会いして「ピープセンを通してどのように楽器を効果的に鳴らして、あなたらしい音にしていくか」直接お伝えしてきたことにかなりの手応えを感じています。
ここで気をつけるべきことがあります。それは「私が推奨しているピープセン、そしてそれを生かしたピンポイント的な楽器の鳴らし方がそもそも合わない」タイプの方もいらっしゃるということです。そもそも、タイプが違うと感じられる方は私のリードを購入されてからリピートはありません。何となく合わないと感じられるのでしょう。そして、その感覚(合うか合わないか判断できる)を持つことはとても大事だと思います。

どんなリード、演奏の仕方が正しいのか、唯一無二というものはありません。やり方、種類は数多くあります。結局は自分に合ったタイプ、リード、奏法は自分で決めていくしかありません。そのための判断基準は「その方法を取ることにより以前よりも演奏が楽に、そして自由に表現できるようになったかどうか」です。
ただ一つ、これだけは少々無理をしてでも身につけておくべき要素があります。それは「アンブシュア、リードを支える口の形を維持する力、筋力をつけること」です。こればかりはトレーニング(例えばピープセン)を続けないと身につかないばかりか維持するもの難しくなります。

ここまで色々と書いてきましたが、やはり文章だけではわかりにくいと思われる方もいらっしゃるでしょう。ぜひ岡山までレッスンを受けにきてください。また、数ヶ月に一度のペースで東京にて「リード調整会&レッスン」を定期的に行っています。レッスン枠としてお受けできますのでご興味のある方はホームページの「お問い合わせ」や『X』のDMなどからご連絡ください(ブログでレッスンの宣伝をするのは初めてですが、もうそろそろ良いですよね)。
今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
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