リードを半完成まで仕上げます。そのままうまい具合に鳴りそうなリードたちは意気揚々として「良いリードたちカテゴリー」に仕分けします。そして中には「なんだかよくわからないけれど上手くいかないリード」というものが出てきます。こうしたリードたちは自ずと「いまいちのカテゴリー」に仕分けされます。皆さんはこの曖昧なカテゴリーのリードたちをどうしていますか?この中から「予想外に良くなっていたリード」は出てくるのか、それともやはり「ダメリード」になるのか、もし「良くなったリード」が出てくるならそれはどうやって見分けるのか、どうして良い変化をもたらしたのかという事についてお話ししようと思います。

ここ数週間で私は大量のリードを仕上げていました。上の写真にあるリードたちは残念ながらいわゆる「ダメかもリード」「軽すぎリード」「よくわからないリード」たちでした。1週間〜10日ぐらいケースに入れて放っておいたでしょうか。全部のリードをもっと削って子ども向けのとても軽いリードに仕上げようか、と思って取り掛かったところ、驚くべき事に「少なくともそのうち2本は本番用並みの良さそうなリード」に仕上がったのでした。その後もさらに数本は普通に良さそうなリードに変わりました。これは本当に驚きました。

この2本たちが本番用並みに良いリードに変化したのでした。
それはなぜか。
答えは「十分な密度と張りと開きがあった」という事です。作り始めた時はそれらが上手く噛み合っていなかった、時間が経ちケーンが変化して条件がうまく噛み合って良い加減の手を加えて良い結果になったのです。そしてこの条件の反対語を集めますと「密度が低く、張りも弱く開きがない」ものは時間が経っても良い変化をもたらさない、と言えることができるでしょう。文章にすると、良いリードの条件は普通そうだよね、わかりきった事だよね、と思われるでしょう。けれど作り始めた時点ではそれがはっきりと効果として現れなかった、なのですぐにダメリードだと判断して壊してしまった、もしくはこのリードもうダメだよねと見せてきた学生さんのリードを私は何度も良いリードに変化させてきました。皆、一様に驚いていました。ダメだと思っていたのに良くなった、なぜ?それは上にあげた条件「ケーンに十分な密度と張りがある事、開きが十分である事」を満たしていれば例え初めは「上手くいかない、変な音しかしない、硬い音しか出ない、軽すぎる」リードでもまだ十分にチャンスはあるからです(注釈、十分な密度がある結果が張りにつながりますので密度と張りは同じ事なのですが要素と結果をわかりやすく説明するために両方の言葉を使っています)。
では、どうやって「十分な密度と張り、開き」という条件を判断することができるのか。
「開き」については難しくありませんね。ぺたんこでない、両方のケーンが綺麗にカーブを描いていることです。「十分な密度と張り」についてはリードを湿らせた状態でリードの削っている部分(スクレープ)全体をゆっくり2本の指で押さえてみてください。「張りが少なめ=柔らかすぎる」のものは簡単にピタッと閉じると思って良いでしょう。反対に十分に密度と張りがあるものは「閉じたとしてもそこに抵抗感がある」ものだと思って良いでしょう。そのリードならば、「正しい場所に」「正しいやり方で」手を加える(削る=薄くする)事によって予想外に良いリードになるチャンスは十分あると思います。リードは厳密にいうと一本一本キャラクターが違います。それぞれの特徴、長所、短所を正しく把握して効果的な場所に効果的なアクション(削る事=薄くなる)を起こすことが大事だと私は思います。その柔軟なやり方で、結果的にリードのロスが少なくなっていくと思います。
半完成の時点で、まだチャンスがあるのに早々にダメリードだと判断して諦めてしまっていた学生さんがとても多かったので、私なりの考えをまとめてみました。そして次には「じゃあ、どういった症状の場合、どこをどういう風にどれぐらい削ればいいの」と言ったテーマになります。これに関しては残念ですが文字だけではお伝えしきれないです。何か他の手段で皆さんにお伝えできるかな、と少し考えています。
今日はこの辺で。今夜もありがとうございました。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年1月12日)