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【リード・ワンポイント】⑤響きが/音が硬い

「音程や機能はそれなりに良いけれど、どうも響き(音)が硬いなあ」というリードが時々出てきます。分厚いとか重い、とは違うような、、、とにかく硬い響きで柔軟性に欠ける。。。こういったリード、どうしてそうなるのでしょうか。そしてどうしたらもう少し「柔らかい、柔軟な響き」になるのでしょうか。私なりの考えと改善方法をお伝えしようと思います。そしてこのような細かい修正に関しては私はキャリパーを使っています。あくまで「キャリパーを使っての私のやり方」ですので全ての方にあてはまるとは限りませんのでご了承ください。

まず、リード材の質に注目してみましょう。そして大事なことを一つ。リード材の質を表す言葉で「①硬い」と「②強い」は違うと私は考えます。詳しく説明すると「①硬い材料は繊維そのものが硬質で柔軟性が少なめ」であり「②強い材料は密度の高いもの、繊維そのものは硬質でないが密度が高いために強い、つまり張りがある」と言った感じです。ちなみに私は2番目の「密度が高くて張りも適度にある強めの材料」を好んで使います。

前置きが長くなりました。この「①硬い材料」と「②強い材料」とではどういう理由でリードの響きが硬くなるのでしょうか。まず①「材料が硬い」場合です。例えば「材料の質は硬いけれど繊維の密度は低い」という材料ですと削れば削るほど軽くなるけれど音質は硬いままなので「金属質な音で軽い吹奏感」という感じになってしまいます。これに関しては材料の質なので根本的に変えることは無理ですので修正したとしても結果的に効果は少ないかもしれません。次に②「材料が強い」場合です。この場合は薄い部分と厚い部分のバランスが悪いと響きが硬くなってしまいます。今日のメインテーマはこの材料が強くて硬い響きがしてしまう場合のチェックポイントと対処方法をお話しします。

まずリードのサイド部分と中央部分を見比べます。中央部分に対して両端の部分がまだずいぶんと厚さが残っている場合、両端部分を少し落としてあげると良いでしょう。それでもまだ硬い時はほんの少しだけ内側に進んであげてほんの少し落としてあげてみてください。ここで気をつけて欲しいのは中央部分から落とさないことです。あくまで外側から始める。中央部分は背骨にあたる部分ですので、そこを必要以上に落としてしまうと、軽くなったのに相変わらず硬質な音、となってしまいます。気をつけてください。

次のポイントです。リードの先端薄い部分と両端部分の境目、下の図のポイント左右2ポイントと更に表裏2ポイント、合計4ポイントの厚さのバランスをとってあげると響きが柔軟になることが多くあります。このポイントについてはキャリパーがないと詳しく計測できませんが、もし目で見ただけで明らかに図の部分が厚そうだ、と思ったら少し削ってあげてみると良いでしょう。私はこの方法をとることで実際にたくさんのリードの響きが柔らかく、柔軟になりました。

ここまでお話ししてきて、私が理想とするリードのフォームについても少しお話ししようと思います。リードを横から見た場合は先端から徐々に緩やかなカーブで、前方から見た時は中心から均等に外側に向かって薄くなる。これが基本です。緩やかなカーブできれいに閉じていく。下の図は良いフォームと悪いフォームの極端な書き方をしましたが、これをイメージして作っています。ここから抵抗感が欲しい場合はどの部分を、もっと軽くしたい場合はどの部分をと発展していきます。

最後に先端部分です。とても薄い部分で慎重な作業が必要ですが、私はこうしています。この薄い部分はキャリパーを使ってでしか詳しい厚さはわかりません。下の図にあるように両端の2ポイント、表と裏合わせて4ポイントはできるだけ同じ厚さ(数値)が良いでしょう。そして中心部分は両端の数値よりも少しだけ厚い、そしてこれも表と裏で厚さを揃える。こうすることで更に柔らかく柔軟な響きになると私は自分の経験から感じています。参考にしてみてください。

絵が上手くない上に文章だけでは完璧には伝わりにくいと思います。そのことは十分承知の上で、私はこのようにやって実際大きな手応えを感じています、ということをお話ししました。リードというのはいろいろ試して失敗をたくさん重ねてきて最終的に自分のスタイルが見えてくる、そこから的中率、成功率を上げていく、そういうものだと思います。何事もまずは試してみる。ダメなら戻せば良い。そうすることにより自分には何が合うのかわかっていく。こうやって私は自分のスタイルを作ってきました。今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年8月12日)