リードを作る/仕上げていく上で私が考える大事なポイント、4つ目です。「そのリードに/材料に、適度な張りがあるか」についてです。
まず最初に。リードに適度な張りがあると何が良くなるのでしょうか。下の写真をご覧ください。

「張りが適度にある事で口をしっかり保てる」これはアンブシュアの形が安定して保てる→演奏が安定するということです。逆にいうならアンブシュアを保つ筋肉が発達していないと適度な張りのあるリードが吹けないことになります。
次に「健康的に息が吹き込める」ということです。適度な張りがあること+安定したアンブシュアでそこに心地よい支えと抵抗が生まれて安心して息をしっかりと(”多く“だけではなく、集中した圧力のある息)吹き込むことができます。このことが健康的な演奏につながります。
次に「適度に張りがあることですぐに閉じないのでダイナミックの差が出せる」ということです。P、PP など音量が小さくなればなるほどアンブシュアを凝縮させて(噛んで潰すのではなく中央に意識を集めていきます)息の通る隙間を小さくして圧力を上げる必要があります。勢いよく水の出るホースの先をどんどん小さくしていく感じですね。そのためにはリードに適度に張りがある必要があります。張りがないとすぐにぺたんこになってしまい強弱の幅が出しにくくなってしまいます。
では、これらの要素を達成するためにどうやって張りのあるリードにするのでしょうか。
リードはあくまで自然の材料を使っているので、張りを人工的に後からつけることは難しい上に不自然な作業になります。私のやり方は「①張りのある材料を選ぶ」「②仕上げに向かう中で張りがあるかチェックする」ことです。
①についてはシェーピングをする前に材料を水に浸した段階(私の場合は30〜40分浸します)でチェックします。厳密に言うと既に材料を選ぶ段階で大体わかるのですが、「誰の目にもわかりやすい」という観点では「水に浸したとき」が良いでしょう。材料を水から出して、両端をつかんで軽くひねります。適度な張りのある材料はこの時点で抵抗を感じて”割れるかも“という感覚が持てます(割らないでください!)。張りが少ない(柔らかすぎる)材料はもっと先までひねっても割れない、グルグルっとなってしまう場合もあります。これは総じて張りが少なく柔らかすぎる材料だと私は考えます。
②についてです。ある程度リードが仕上がってきて楽器でも鳴るようになった段階で、私はリードのみをくわえて音を「ピーピー」と出します。色々な圧力を加えてテストをするのですが基準となる音は「H- Cis-Dis」の3段階でこれらの音が出る、また音を出してもリードがすぐにぺたんこにならないことで適度の張りがあると判断しています。アンブシュアの強さや吹く力など人によって違いますので、この3段階の音の高さは半音ずつ下がっても構いませんし、2段階でも良いでしょう。なぜこの作業をしてチェックするのか?私たちはオーボエを吹いていく中で、意識しているしていないに関わらず、また大小の差はありますがリードにかける息の圧力を変えて吹いています。音の高さ、強弱の違いによってです。その幅が適度に広ければ演奏の可能性が広がります。そのために必要な張りがあるかどうかをチェックするためにこの作業を行うのです。
さて、今のところ「リードを作る/仕上げる上で私が考える大事なポイント」は以上になります。文章と画像だけではわかりにくいこともあったかもしれませんが、皆様のリード作りに何かしらお役に立てたら幸いです。何かご質問などありましたらお気軽にお問い合わせフォームよりお尋ねください。
今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
Viel Spaß und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★
(2020年10月3日)