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【リード】針金とその意味

今日は針金についてお話ししようと思います。

ここでいきなり質問です。「なぜ針金を使っていますか?」「目的に応じて締める位置など決まっていますか?」

リード作りには実に多くの工程があります。その一つひとつの作業に「なぜこうするのか」という意味を持たせてあげることはとても大事だと思うのです。もしどこかで問題が起こった時にもしかしたらその理由が原因かもしれませんし解決につながるかもしれないからです。では本題です。私の場合「なぜ針金を使うのか」ということと「目的に応じて締める位置が決まっているのか」ということについてです。

まず、なぜ針金を使うかについてです。一番の目的は「ズレを防ぐため」です。それにはリードを巻き上げる時、糸の一番上の部分、すなわち糸と材料の境目の部分についてお話しする必要があります。材料は自然な形で閉じてチューブにつながっていくのがベスト、だと私は考えています。隙間がありすぎると息がスカスカになってしまい、逆に窮屈すぎるとリード全体の振動が損なわれます。結果「一番自然な形で閉じる位置によって全長が変わってくる=シェーピングの形によって全長も変わってくるのが自然」だと思っています。下の写真はちょうど針金の位置がチューブの先端で材料が「自然に」閉じるところ、糸巻きの終わり部分になります。

このように自然に閉じている状態を作り出します。では完成した時に具体的に針金をどのあたりに巻いているのでしょうか。こちらの写真です。

大体どれも同じ位置になっています。測ると糸の巻き終わりのところから5,5mmぐらいの位置でした。自然に閉じる位置に設定している材料は絶妙なバランスで重なり合っているので、吹いていくうちにズレるリスクも出てくるわけで、それを防ぐために針金を巻いています。次に「目的に応じて締める位置など決まっているか」についてです。私の考えは「針金を使って無理やり開きを出したり、逆に閉じさせたりするのは好きではないけれど、必要となればやる」です。消極的な考えですが自然のものであるリードのことを考えたらそうなりました。

開きを出したい場合は上の写真にある針金の位置はほぼ変えずに、ペンチで両サイドから力を加えて開きをつけます。ただし、前述したようにこの方法は不自然な作業なのであまり使いません。

次に開きすぎているので閉じさせたい場合です。これも正直にいうとあまり使いません。適度な開きは必要ですし吹いていくうちに適度な開きは必要な開きへとなっていきます。そして吹けないような開きのリードはそもそも作らないので、、、。というわけで閉じさせたい場合の針金の巻き方はご説明できません!

開きの調整について適当にしか書けないのは申し訳ないのですが、これは私が「針金は材料の重なりを保ち、ズレを防ぐために使っているのだな」ということがお分かりいただけたと思います。(振動に対する影響についてですが、私の場合はズレを防ぐために使っているのが第一目的なので、その上で発生する振動をリードそのものの振動として扱っていきます。)

最後に、これは参考程度にお話しします。私が仕上げのリードに巻く針金の太さ(細さ)ですが、おそらく一般的に使われているものよりも細いと思います。0,028mmのものを使って3回巻いています。これには理由があります。針金は太すぎると繊細さに欠けてがんじがらめになってしまい自然の振動を奪ってしまうからです。細いもので一回分多く巻くことによって繊細で材料に馴染んでいくのではないか、と私は考えます。0,03mmを使っていた頃は2回巻いていましたが、0,028mmにしてからは2回だと心許ないので3回にしました。この0,028mmの針金を使う3回巻きは特殊な方だと思いますので、「私はこうしているよ」という意味ででお話ししました。

今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。

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