オーボエリード、材料(ケーン)にとって大事なのは硬さなのでしょうか?それとも?今回はすぐ答えになりますが私の考えは「硬さだけではない」です。どういう事でしょうか?

まず、ケーンの性質で最も私が大事にしているのは「密度と張り」です。十分に密度があってその結果出てくる自然な張り、この条件を選んでいく過程で重要視しています。十分な密度があることによって密度の濃い音が可能になり、適度な張りがあることによって十分に息を吹き込んでもつぶれないしっかりしたオーボエリードとなります。逆にケーン自体が硬くても密度が低いとスカスカの質感になって芯のない音になる傾向があると考えます。硬さというものは硬度計で測ることができますが必ずしも密度がわかるわけではありません。硬いけれど密度が低いケーンも「硬いカテゴリー」に入って結局スカスカの音になってしまう、というのを私自身経験しています。

では、どうやって私が言う「密度と張りのあるケーン」を見分けるのでしょうか?密度計と言うものを数回使ったことがあります。デトモルト音大のファゴットクラスがそういう機械を持っていて使わせてもらいました。その結果、私が選んでガウジングしたケーンたちは「適度な密度があるという意味の数値」が高確率で表示されました。自分の選び方は間違ってなかったのかな、という確認作業になったわけです。
では、今度こそ、どうやって選んでいるのでしょうか。

とてもシンプルな方法です。水に浸けたケーンの反発力を見るのです。やり方をご説明しましょう。
シェーピングをする前に一定時間水に浸けますよね。私の場合は40分ほどです。水から取り出したケーンの両端を持ちます。少しだけねじります。例えば右側は奥の方向、左側は手前の方向にです。そして左側のつまんでいるケーンを離します。ケーンにしっかりと張りがあれば(密度がしっかりあれば)「ピン!!!」と手応え良く元の位置に戻ってきます。これ以上ねじると割れてしまうな、という感覚がります。下の写真の感じです。※1画像はケーンが見えやすいように右側を手前に、左側を奥へねじっていますが実際は逆で右側を奥へ、左側を手前へねじります。ややこしくて申し訳ないです!※2ねじりすぎて割らないように注意してください!

柔らかい(密度が低い)ケーンの場合はねじっても反発する力が少なくねじれたままの状態になります。片方を離しても元の形には戻らず「ぐにゃっ」という形のままです。下の写真の感じです。ちょうど弱そうなケーンがあったので水に浸けて試してみるとぐにゃぐにゃに曲がりました。この二つの違いは実際に密度の高いケーン、低いケーンを水に浸けて比べてみるととてもよくわかります。

画像だけでは分かりにくいと思います。以前、服部管楽器さんに撮っていただいたリード作りの動画の中に、ちょうどこの「水に浸けたケーンの張り具合をみている」シーンがあるのでご紹介します。40秒あたりから約1分間の短い時間ですが、どういう動作で確かめているのか見ることができます。
手先の感覚はとても敏感です。それを駆使してケーンの密度や張り具合がわかるようになると、似たような傾向のケーンを選べるようになります。私はそうして実際にリードの成功率を上げていきました。手先、指先の感覚を大切にしていき、その感覚を信じてリードを作っていくということも重要なのかな、というお話しでした。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。
Viel Spass und Freude am musizieren!! 音楽に楽しみと喜びを★(2021年7月16日)