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【オーボエリード作りについて】なぜ機能のことを最も重要視するのか

この記事でとりあげるテーマは既にお話ししているものですが私の最も大事にしていることでもあるので改めてお話ししようと思います。

「良いオーボエリード」「良い音」って何でしょうか。「良い音がするオーボエリードが良いリード」なのでしょうか。

今回は、かつてドイツ・デトモルト音楽大学で師事していたシュマルフス師匠に言われたこと、そこから私の考えが変わったというお話をしましょう。

レッスンで何本かのオーボエリードを準備していった私は、師匠の前で吹き比べて聴いてもらいました。そして「どのオーボエリードが一番dunkel(暗い)音がしますか?」と聞きました。その後言われた言葉が私の中に染み込みました。

「Masako,暗い音ってなんだ?それが良い音で良いオーボエリードということなのか?違うだろう。機能をまずは重視するんだ。音程、音量の幅、スムーズな発音、適度な振動と開き、、、。まずはこういった機能がもっとも大事なのだよ。これだけクリアしないといけない条件がある。が、それらが出来たら演奏者は自由な演奏ができ、その人らしい音になる。それがその人に合うオーボエリードということだ。そしてその人から聴くことのできる良い音になるんだ。」

これは、私が今も最も重要視して取り組んでいることです。機能については細かく言い始めると長くなるのでここでは省略します。

良い音というものを真っ先に考えていると、不安定な音程があったとしても気付かずスムーズな発音も見落としてしまうかもしれません。ずっとmpからmfの中間の音量のままかもしれません。十分に振動せず初めの数分は良い音に聴こえるかもしれませんが後は苦しくなります。苦しくなった後は良い音には聴こえませんよね、、、。結局はきちんと機能しているかという見方で作っていかないとコントロールしにくいオーボエリードになっていくのです。(そして既製品、量産品を一か八かで買って手元に届くものは残念ながら機能が十分でないものが多いように思われます)

★安定した音程 ★音量の幅が十分に出せるか ★スムーズな発音ができるか ★適度な振動と開きがあるか

これらをきちんとクリアしていき機能が組みあわさっていくと吹き手に合ったオーボエリードができて自由な演奏につながっていくわけです。「自由なのびのびとした音=あなたの音」になるわけです。そして、吹き手の演奏技術が上がることでオーボエリードに求める要求(レベル)も上がります。

良い音で演奏するのが一番の目的ではなくて、あなたの考え、歌心をオーボエを通してどう表現したいのか、それに必要な機能を使ってあなたの音楽を表現すること、これこそが一番の目的ではないでしょうか。良い音というのは最初は耳に残りますがそこまでです。良い音だけではすぐに飽きてしまいます。吹き手がどのように表現したいか、その説得力とパワーと思いが聴いている人の記憶に残ります。そこに「そのひとの音、響きがくっついてくる」そんな感じ(順序)で考えてみるのはどうでしょうか。

良い音というのは大切なことですが、それ以上にどんな音楽/表現をしたいのか、ということが大事ですよね。それが音楽だと私は思うのです。

2つ目の理由です。オーボエリードを作る材料の質は毎回違ってくる、極端にいえば全く同じものはできません。毎回色々な性質のものを相手にして「良い音という抽象的な基準」で作っていってもおそらくすぐに迷いや行き詰まりを感じてしまうでしょう。具体的な機能を重視すれば「この材料の性質に対してどこをどれぐらい手を加えればうまく機能するか」考えられるようになり結果的にその材料の性格や質を活かしてオーボエリードを仕上げていくことができます。

最後の理由です。これらの「機能」はとてもわかりやすい(伝えやすい)からです。見えやすい、聞こえやすい、感じやすい、つまり相手に理解されやすい要素だからです。もちろん全ての機能をクリアするのは難しいですが、少なくともわかりやすい(真似しやすい)。これはとても大事なことだと思うのです。

それぞれの「機能」についての具体的な取り組みについてはカテゴリ【オーボエリード(作り)について】内の記事をご覧ください。また、アトリエにお越し下されば直接お伝え出来ますし、オーボエリード製作のレッスンも行っていますのでご興味がありましたらメニュー→【お問い合わせフォーム】でご連絡くださいませ。

今日のお話は好き嫌いがはっきり分かれると思います。が、私はこうやって取り組んでいるということをホームページもリニューアルしたことですし改めてお伝えしようと思いました。最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★