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【リード】焼きと割れとその前に大事なこと①

リードを作る工程で「シェーピングして二つ折りにした材料をチューブに設置する」ときに「マンドレルを熱して材料に焼きを入れてワイヤーを締めていく」段階で「割れてしまう」ということが起こることがあると思います。今日はそのことについて私なりの考えをお話ししていこうと思います。

このテーマに関しては、「どうやるか、という方法論よりも、まずなぜそれをする必要があるのか】」をきちんとわかっておく必要があると思います。ですのでゴール(結論)をすぐにお話しするのではなく、順をさかのぼってお話しすることになります。そして、これはあくまで私個人の考えですので、これが絶対的に正しいものだ、というものではありません。

さて本題です。そもそもなんのために焼きを入れるのでしょうか?

それは「チューブとケーンを自然な形でセッティングするため」です。それでは「自然な形」とはどういうことでしょうか。どういったことが大事になるのでしょうか。それは ①リードを横から見たときに大事なこと ②リードを正面から見たときに大事なことの2つのポイントがあります。次の図柄を見てください。(絵はあまりうまくありません、すいません)

リードを横から見たときにチューブとケーンの境目になるポイントでケーンが自然な丸みを保てているか、です。上の図はチューブの丸みを引きついで自然な形で先に向かって閉じていくので息がしっかりと入るようになります。振動もしやすくリード全体が鳴っていきます。下の図ではチューブとケーンの境目がいきなりぺたんこになってしまい先に向かってぺたんこなままなので、結局すぐに閉じてしまいがちなリードになってしまいます。これが 「①リードを横から見たときに大事なこと」です。

次に ②リードを正面から見たときに大事なことです。

ケーンをチューブにセットするときに「全長何mmにするか」ということに関してみなさんははっきりした理由をお持ちでしょうか?同じ長さのチューブを使うとしてという前提ですが、私は【全長はチューブとケーンの形によって変わっても良い】と思っています。リードの吹き口が極端に小さいオーボエは、ただでさえ抵抗が大きく体に返ってくる圧力が多い楽器なので、できるところは可能な限り自然な形にすることが大事になるわけです。ではケーンとチューブをセッティングする際に何に気をつけるかというと【ケーンからチューブの先が自然な形のカーブになるようなポイントを見つける】ことです。次の図を見てください。

全長を短くしすぎるとケーンが急にギュッと閉じてしまい、まるで鶏の首をしめるようになってしまい苦しくなります。音程が不安定になってしまう原因にもなります。全長を長くしすぎると、今度は根元のあたりに隙間が開いてしまい息漏れの原因となり結果的にリードの振動が失われてせっかく吹き込んだ息の効果が反映されにくくなってしまいます。ちょうど良いのは【ケーンのカーブが自然に閉じていってチューブに繋がるポイント】を見つけるということです。

これらのことを全てまとめた結果、「なぜ焼きを入れるのか」というのは「自然なフォームを作るためにケーンの先端部分とチューブの重なる部分を熱してマンドレルに差し込んでワイヤーで閉じていくことによって、できるだけマンドレル(チューブ)のフォームに近づけていく」ということができると思います。ここまでお分かりいただけたでしょうか。次回はこの記事のテーマでもある「焼きと割れ」について、そして私がどうやっているかをご紹介していこうと思います。こうして具体的方法をお話しする前に色々と説明してきましたが、「どうしてこの作業をするのか、何の効果があるのか」をきちんと意識して作業していくことはとても大切なので記事一回分を使ってお話ししました。今日はこの辺で、今夜もありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年5月6日)