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【オーボエ奏法】Pということについて①どう解釈していますか?

オーボエ奏者にとって「P」「PP」「PPP」という表示は最もやっかいな課題の一つでもあると思います。何回かに分けてお話ししようと思うこの「P」(ピアノ)ということについて、私なりの解釈、リードではどんなポイントを?、私なりの練習方法といった様々な角度からアプローチしていこうと思います。第一回目は「解釈(考え方)」についてです。

特にオーケストラで2番オーボエのポジションで演奏していると「PP」、特に低音の「PP」を見た途端にびびってしまう、萎縮してしまう、そのことによって「音が出ない」「出たとしても爆発音」「タイミングが遅れて音が出てしまう」などなど色々な現象を経験された方も多いかと思います。私ももちろん全て経験しました。とても幸運なことに、ドイツで働き始めたオーケストラで最初の数年間一緒に吹いていた同僚が、自分のとても尊敬する先輩で色々なことを学ぶことができました。先輩のおかげで、『Pに対する考え方を変えれば綺麗にできる』ことがわかり、実際にできるようにもなりました。

人は目の前にある課題に対してネガティブな思い、身構える、といった反応を示すとそこから先のパフォーマンスの質は落ちていきます。これは音楽の世界に限らずスポーツの世界にも言えると思います。「P」「PP」に対して「静かに出なければいけない」「目立ってはいけない」「とにかく音量を小さくしなければいけない」などなど。。。。。この「〜しないといけない」というネガティブな受け止めをしてしまうと、人は途端に緊張してしまい、筋肉がこわばり、余計な力がかかり、結果的に思うようなパフォーマンスができなくなります。具体的にいうと「息のスピードが落ちる」「必要以上にリードを押し潰してしまう」「舌がこわばってアタックがきつくなる」などでしょう。

ではどうすれば良いのか。

考え方を変えてみましょう。言葉には「言霊」という意味も含まれています。つまり言い方を変えてそれを言い続ける、思い続けると実際のパフォーマンスも変わってくるよ、ということです。思いつく限りの言葉を挙げてみましょう。

少々大きくても良い、柔らかくあたたかい響きで

どんな色の響き?その色が広がっていくよ

息はもうすでに楽器のベルより先に通っているよ

私たちの息は常に流れ続けている

その音を全体のハーモニーの中に溶け込ませて

こんな感じでしょうか。とにかく音を小さくしなければ、という考えとはかけ離れた、柔らかくて自由な、血の通った表現だと思います。不思議なことにそう思うだけでパフォーマンスの質は上がるんだと思ったのでした。自分の考えを変えるというテーマで今日はお話ししましたが、オーケストラ、アンサンブルの中でお互いの声かけ、例えば1番オーボエ の人が2番オーボエの人に対する「言い方」としてもとても有効です。もっと話を広げると「指揮者の言い方」にもつながると思います。「小さくして!!!」よりも「もっと柔らかく、息をしっかりと流して」と言われた方が明らかにパフォーマンスの質が上がるということですね。

今日は「P」「PP」に対する考え方をお話ししました。次からは具体的に何をどうしたら良いのか、私なりのやり方などをお話ししていこうと思います。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年8月3日)