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【オーボエ奏法】Pということについて②アンブシュア・イメージは『水の出るホース』

前回の「Pということについて①」では解釈、考え方についてお話ししました。実際に「綺麗で静かな美しいP」が出せるためには考え方のみでは足りません。けれど、考え方が実は一番重要なのではないかな、と思いそういう順番でお話ししています。今回は

アンブシュアと息

について、Pを吹く時に特に私が心掛けている点についてお話ししようと思います。

そもそも、私たちが吹いているオーボエリードは吹き口がとても狭く、私たちは自分の体の中にどんどん溜まってくる「息」によってどんどん苦しくなっていかないように格闘しています。やっかいな課題ですが、見方を変えれば体の中から外に出ていこうとする空気の力は「支え」でもある、と私は考えています。今回は「支え」がテーマではないので話を元に戻しましょう。

「P」「PP」を吹く時、私たちは自然にアンブシュアを小さくすぼめていると思います。詳しく表現するとリードの先端に触れている部分の唇を小さく中央に寄せるという感じですね。リードの開きが大きい(アンブシュアが開いている)状態でPを出すのはかなり難しいと思いますし、そもそも心理的に困難だと思います。「小さい音を出すときはアンブシュアをすぼめる」これは自然な反応です。問題はここからです。アンブシュアを小さくすると同時に「息のスピード、勢い、圧力も少なくなってしまう」ことが起きかねないということです。そうなると途端に「音が出ない」「爆発音になってしまう」「スカ〜と空振りした後に出遅れて音が出る」といった残念な結果になってしまいます。そこでイメージしていただきたいのが

アンブシュアをすぼめるのは、勢いよく水が出ているホースの先を指でつまんで小さくする感じ

ということです。水が勢いよく出ている状態でホースの先に何もしなければ大量の水がどっと出ます。これを音に置き換えると「大きい音、フォルテ」だと思ってください。続いて、蛇口はひねらずに(水の量は変えずに)ホースの先端を指でおさえて小さくする。そうすると水の出てくる様子はどう変わるか?水の供給量は変えていませんから出口が狭くなった分、出てくる水の量は減って勢いは増します。鋭い水がピャーーと出てきます。これが音に置き換えてのPになります。アンブシュアを小さくすぼめて出てくる息の量は減りますが勢いはむしろ増します。細いピンと張り詰めた糸のような感じです。そこから話がつながっていくのですが、リードのみで音を出す時、PP、特に低音のPPの時などはとても凝縮されたスピードのはやい息になりますので、リードのみでの音も高めになります。

なかなか文章だけでは伝わりにくいと思いますが、今回は

P、PPを出すときはアンブシュアをすぼめることでリードの開きは最小限になり息の量は少なくなるが勢いと圧力は増える、つまりとても凝縮された細い糸のようにピンと張り詰めた息、これがP、PP、特に低音の場合有効である

というお話しでした。今まで色々なお話しを書いてきましたが、改めて思うのは、

管楽器にとって、息について、その使い方考え方は本当に大事なことなのだということです。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年8月4日)