4月の終わりに本間さんとのYouTubeライブトークで「ピープセン」についてお話ししてから、色々な方にお声がけをいただいています。ありがとうございます。まだご覧になっていないかたはぜひこちらをどうぞ。真ん中部分、47分あたりから「おさらい」の形で簡潔にお話ししていますので、ぜひリードと一緒に実践してみてください。
私は、ドイツに留学してから、それまでのリードのスタイル、アンブシュアなどを全て変えました。そもそもなぜ全て変えようと思ったのか少しお話ししようと思います。その過程でのトレーニング方法の一つが「ピープセン」でもありました。

ドイツ・デトモルト音楽大学に留学してから、まず初めのレッスンで教授とアシスタントの二人に言われたことは「君のリードは良い音がするけれど、ここで学びたいのならリードのタイプ、アンブシュア、奏法など全て私たちのやり方にそろえていってね。そうすれば、何かあった時に的確に指摘してヘルプできるから」というものでした。
現在の考え方では「一方的に考えやスタイルを押し付けている!」と反発されるかもしれませんが、私は教授のレッスンを受けて「この人に学びたい」と決心して行ったのでリード、アンブシュア、奏法を変えることにそれほど抵抗はありませんでした。(そこからスムーズに行ったかどうか、は全く別の話ですが)

そして、何よりもこれら(リード、アンブシュア、奏法)の改革を自ら強く望んで決心したもう一つの理由がありました。それは「国籍問わず同じクラスにいた先輩たちの存在」でした。ちょうどその頃行われた「ソニー国際オーボエコンクール」に向けて切磋琢磨している先輩たち(主にロシア人、韓国人)の演奏を聴いて衝撃を受けました。強靭な持久力、アンブシュアが崩れない、長時間どうやったらあんなに安定した演奏ができるのか、そして空間中に響き渡るスケールの大きい吹き方、各自が思う存分に個性を発揮して主張して、それでいて限りなく繊細で柔軟な音の響き方。
私もあんなふうにオーボエを演奏したい。
あんなふうに自由自在に柔軟な響きを奏でたい。
あんなふうに聴く人の心に訴えかける表現力をつけたい。真似したい、盗みたい。

目の前に目標となる存在があるとモチベーションはグッと上がります。その対象に近づきたい、そんな思いが自分の成長に必ず繋がっていきます。そういった理由で私はこれまでのスタイルをガラッと変える決心をしました。その中のトレーニングの一つが「ピープセン」でした。ピープセンを完成させることが目的なのではなく、ピープセンという一つの手段を通して目標とした先輩たちや教授の「キラキラと輝くような」オーボエの音に近づきたかったのです。詳しくは↑のYouTubeをご覧ください。
皆さんには、何か目標となる存在、演奏、奏者などがありますか?こうなりたいという強い思いはありますか?
今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを⭐︎