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【最近多いご質問】吹き方なのか、リードなのか

最近、メールやリードのご注文、またこのアトリエを訪れてくださる方々から良く聞く質問があります。目新しいことではありませんが、多くの方々が同じような課題や問題を持っている、感じているのではないかと思います。

「音が硬質でまとまっていない。これは自分の奏法が原因なのか、それともリードが原因なのか」

結論から言いますと「どちらもです」これが私の答えです。どういうことでしょうか。

(少し話はそれますが)リードを自作されている人なら実感を込めて頷いてくださると思うことがあります。「自分の吹き方や調子によって知らず知らずのうちにリードも変化していく」ということです。自分の吹き方によってリードは変化するということは奏法を変えるとそれに応じたリードになっていきますし、リードを変えるとそれに適した奏法に変えていかないと機能しません。

意図的に取り組んでいるのなら構わないのですが、問題は「知らず知らのうち」に「奏法がおかしくなってリードも変になる」ことです。そしてその問題のうちでもっとも良く聞かれるのが「音が硬質でまとまっていない」というものです。ご自分でリードを作り色々と試せる場合はまだ良いとして、自作リードではなく完成したリードを使っている人の場合はどうすれば良いのでしょうか。

初めの質問に戻りましょう。「音が硬質だ」これはリードの材質が比較的大きく影響します。硬質な材料、柔らかい材料、これらは材料の繊維の質の問題でその性質が出てくる音のタイプに影響します。ただ、『吹き方を硬い感じから柔らかい感じにすることによって音を少し柔らかく鳴らすこと』も可能です。

次です。「音がまとまっていない」という課題についてです。これはリードの材質の問題というよりも「吹いている本人が音をまとめきれていない」可能性の方が大きいです。なぜなら「まとまった音の吹き方」「吹き散らかすような吹き方」によって同じリードでも出てくる音が全く異なるからです。こちらの場合は「奏法を見直すこと」も視野に入れて取り組んだ方が良さそうです。

ここ最近、ピープセンを実践してくださる方が多くなってきたと感じています。まだこの動画をご覧になっていない方は是非見てみてください。そして一緒に試してみてください。(47分あたりからまとめ動画にもなっています)

このピープセンについては何度も何度もお話ししてきました。しつこい、新しいことは無いのか、と思われるかもしれませんが、それだけ重要なことでこのピープセンを継続することで音が、鳴り方が、響きが変わるということを多くの方々が実感されています。そしてここからが大事になるのですが「ピープセンはリードをくわえるアンブシュアの形を保つために有効なトレーニング、いわゆる筋トレのようなものなので、継続しないとあっという間に筋力が衰えて良いフォームを忘れてしまう」ということです。

私はドイツに渡ってからリードと奏法をガラッと変えたのですが、初めは全く慣れないピープセンと格闘し、まともに吹けるようになるまでに数ヶ月以上かかりました。そして奏法がしっかりと身についた今でも、練習をサボっていたり忙しさに追われて練習できないでいるとまず最初に衰えていくのが「アンブシュアを保つ力と感覚、そして持続する力」です。それぐらいシビアであり繊細な部分の話なのです。

リードの面からのアプローチは色々とできます。しかし、そのリードを吹いて音を出して音楽を奏でるのは奏者である皆さんご自身です。少し大袈裟な言い方かもしれませんが「奏法の助けになるかもしれない可能性の一つとしてピープセンを継続することによって心地よいと感じる/これなら吹ける!と感じるリードの幅が広がる」と私は思っています。

皆さまからのご質問を受け付けています。リードに関して、ピープセンに関して、奏法に関してお気軽にお尋ねください。お問い合わせフォームより受け付けています。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★