今日はオーボエを吹いている時の「支え」についてお話ししようと思います。(いくつかの回に分けてお話しします)
みなさんは、部活の練習のとき、発声の練習のとき、歌の練習のとき、いろいろなシーンで「腹筋に力を入れて!」と言われた記憶はありませんか?私はあります。腹筋をきたえる、息を吸うのも、支えるのも腹筋。
けれど、本当にそうでしょうか?そして何をどうしたら「支え」になるのでしょうか?そんな漠然とした疑問を長い間持ち続けていたのですが、ある年の夏にオーボエの講習会に行っていろいろなことがわかり、謎が解けてきました。そして「腹筋をきたえる」ことが必ずしもスムーズな呼吸としっかりとした支えにつながるわけではないのだということがわかりました。今日は、「腹筋について」の間違った認識と「支えってどうしたら良いの」ということについてお話ししたいと思います。

この写真は今日のテーマにはあまり関係ありませんが、管楽器がたくさん並んでいます。管楽器奏者は以前の記事にも書きましたが、「息のコントロール」が最も重要なテーマだと思います。そこで最初に書いた疑問ですが、「腹筋に力を入れる」ことが本当に正しいのか?ということについて考えてみたいと思います。これは、一つ実験をしてみるとよくわかります。
①まず椅子に半分くらい(または普段演奏するように)腰掛けてください②両腕を椅子の背に回して組んでください③両足を床から離して、上半身を斜め上方向に向けてその姿勢を保ってください
この姿勢を保っているとき(保とうとしているとき)、私たちの腹筋がフルに使われているのがお分かりでしょうか?腹筋をきたえるのにはうってつけの姿勢ですね。では、その状態で声を出してみてください。歌っても良いですし、お話ししても良いです。どうでしょうか、とても苦しくありませんか? これが、「腹筋に力を入れている、腹筋をフルに使っている」状態です。このような苦しい状態で、楽器が演奏できるでしょうか?
私には無理です(笑)。
というわけで、腹筋に力を入れる、腹筋をきたえるということは、楽器演奏に必ずしも必要なことではないということがお分かりいただけたでしょうか。
次回はそこから発展して呼吸と支えのことについてお話しします。
Viel Spass und Freude am musizieren!音楽に楽しみと喜びを★ (2019年11月10日)