前回では「腹筋」についてお話ししました。今日はその続きで、「支えのこと」「息を吸うこと」についてお話ししようと思います。

みなさんは「支え」というと体の中でどの場所を思い浮かべますか?腹筋、お腹周り、、、、。前回、腹筋は必ずしも「支えの助け」にはならないということをお話ししました。では、「支え」とはなんなのでしょうか?
※そのお話をする前に、一つ。「支え」とは上の方ではなく、下の方の力、重心を低く感じることができ、演奏が安定したものになるために必要な効果です。「支え」が上にあがってしまうと、「あがってしまう」「息が浅くなる」「頭に血が上る」などといった演奏に支障が出てくる原因になります。※
私は、「支えとは、体と楽器を繋ぐラインと、体の中のいくつかのポイント」であると考えています。しっかりと支えのある安定した演奏をするためには、どこか一部だけを意識したり力を込めるものではなくて、いくつかのポイントに意識を持っていき、そこに「重点を置く」ということです。その「いくつかの重点」とは
ー足の裏ー丹田とその裏側である腰の下あたりーアンブシュアー一本のライン
です。一つずつ見ていきましょう。
ー足の裏これは私たちが特に立って演奏するときに重心を低く感じるためのコツです。物質的には舞台の床、さらにイメージを広げて大地と私たちの足はまるで木と根っこのようにつながっています。そう感じることで、ずっしりと重み、重心を低く深く感じることができます。
ー丹田とその裏側である腰の下あたり丹田(おへその下あたり)は呼吸法や瞑想、アレキサンダーテクニックなど様々なシーンで度々出てくる重要なポイントです。そこに意識を集中するだけで、深くゆったりとした呼吸ができます。さらに、吸った息の勢いをたもつ内側からの力(これが支えと思っています)として丹田の裏側、腰の下あたりに意識を集中することで「支え」がぐっと安定してきます。
ーアンブシュア体と楽器をつなげている部分、アンブシュアについてです。オーボエ のリードに息を吹き込む時にその口の形を支えるアンブシュア。直接リードに接している唇のさらにその周り、唇の形状を支えている周りの筋肉、そこがしっかりしていることで音程や強弱の細かい調整が可能になります。リードに直接触れている部分は柔らかく、それを囲む部分はしっかりと、といった感じです。ここで一つ注意しておきたいのは、リードを歯の力でぐっと噛んでしまわないようにすることです。その時点で様々な可能性、柔軟性、音程の調整、発音のスムーズさが台無しになってしまうからです。
ー一本のライン最後に、体とオーボエが一本の線で繋がっているということです。楽器と体が一体となって自由な演奏ができる、そのためには、私たち管楽器奏者の息の線は『足の先から始まり、体の中心を通っていき、リードを通してオーボエに繋がり、ベルの先まで「一本のライン」なんだ』と意識することが大事になってくると思います。そうすることで息の流れとスピードがスムーズになり、結果的に体と楽器が共鳴する、響きが遠くに飛ぶ、そんな演奏が可能になるのです。
さて、一度にたくさんお話しし過ぎてしまいました。全部を一度にやろうとすると難しいと思うので、まずはどれか一つ試してみてください。そうするとその効果が増幅してきっと「自由な演奏と心地よさ」が感じられると思います。
今日もありがとうございました。
Viel Spass und Freude am musizieren!音楽に楽しみと喜びを★ (2019年11月13日)