これまで何度も書いてきた「息の流れ」についてです。最近、ジュニアオーケストラでの指導やオーボエレッスンも増えてきたことから、改めて「息の流れ」が大切なのだということを感じています。このブログを読んでくださっている皆さんは「今さら、、、」と思われるかもしれませんが、結構新しい発見もあったりするものです。今回は「パーツは揃っている、それを繋げるのが流れる息」ということについてです。

あるフレーズを吹いていて、音が途切れたりきれいなスタートが出来なかったりすることがあります(最低限の機能的要素であるリードや楽器の状態は備わっているとして)。そんな時、私はよく「息を前へ、先へ」と伝えます。では、「息を前に押し出そうと思い、目一杯吹き込めば良いのか?」もちろん違います。逆効果です。オーボエリードの開きはとても小さいので、そこへ向かって大量の息を吹き込んでもオーバーブロー(息が無駄に余ること)になり苦しくなるだけです。

ここでいう「息を前に」というのは「イメージとして、息の流れる道筋を目の前に、その先に向ける」ということです。楽器の状態は良い、リードも機能している、音を出すことに関しても問題ない。ではなぜ音が途切れたり、きれいなスタートができなかったりするのでしょうか。

私が思うに、「息をする、呼吸するということがあまりにも自然なことなので、息の流れ、道筋、向かっていく方向、目的地音楽の向かう先」がイメージできていないことが原因ではないでしょうか。この息の流れのイメージをはっきり持っていると、それ以外の「パーツ」である楽器、リード、奏法といったそれぞれの要素が上手く結びついて「流れるような、聴いていて音楽のその先が見えてくるような演奏」につながっていくと考えます。

では、具体的に「どんなことをイメージ」すれば良いのでしょうか。ただ単に「息の流れーーー!」といってもよくわからないこともあります。人によって「これをイメージすると良いかも」という内容は様々です。

私の場合は「まるで自分がオペラ歌手になったかのように」というイメージをよく使います。声楽の特に高音域などを響かせる「感覚」がオーボエのそれとよく似ていると思うからです。他には「道の向こうの人に届くように」「細くてピンと張り詰めた糸が真っ直ぐに伸びているように」その時によって色々な言葉でイメージをしてもらいます。これといった定型文はなく、まさに「その場の勢い」なのですが「勢い・テンション」はそれはそれでとても大切です。

イメージが固まって、それぞれのパーツが上手くはまってきれいなフレーズが吹けた時、大抵「なんでいきなり出来たのかわからない!」「さっきと全然違う!」こういった反応が返ってきます。テンションで出来たことはとても大事です。それ程に「活きた音楽を演奏するということはエネルギーを必要とする」からです。そして更に大事になってくるのは「今できたことが、後になってもできる、イメージが定着してそれを演奏に繋げることができる」ようになると本当に身に付いたことになります。このプロセスが実は一番難しいんですよね。けれどとても大切なことです。

機能はすでに揃っています。それぞれのパーツをどうやって繋げていくのか。それは息の流れ、真っ直ぐにどこまでも続いていく流れるような息が大切。それを実現させるためにはどんなイメージが自分には必要なのか、というお話しでした。今日も最後まで読んでくださってありがとございます。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★