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【軽すぎるリードは実は難しい】

軽すぎるリードの方が実はアンブシュアや息の流れをコントロールするのに労力がかかると言うお話です。後半では少し踏み込んだ内容になっています。

とても軽い(薄い)リードというのは簡単に音が出せるので一見ラクそうに見えるかもしれませんが、抵抗感が少なすぎるとかえって音程のコントロールが難しくなる場合があります。また、薄過ぎて開きもほとんどないリードを吹き続けているとそれに見合う息の吹き込み方しか出来なくなり、演奏も「p以上、mp未満」という状態になってしまいます。

少し吹奏感のあるリードを使い「良い意味で」リードを拠り所にしてあげれば、そこに向かって凝縮した息を吹き込めば良いので、音程などは逆にラクにコントロールできます。リードをストッパーのような役割、息の流れをコントロールして真っ直ぐな密度の高い息を送り込む「信頼できるダム、堤防」といった感じでしょうか。

ただし、そこにはある程度のリードをくわえる適切な形(アンブシュア)を維持し続けられる筋力が必要になります。アンブシュアを維持する力がつくと、ある程度の厚さや抵抗感のあるリードを吹いた時に「いわゆる良い音(!?)」を出すことが比較的簡単にできます。薄すぎるリードを吹きながら「厚みのある暗い音、柔らかい音」を出すことは私にとっても非常に困難です。

オーボエを吹く上でこのリードをくわえる形(アンブシュア)を維持して演奏に活かす筋力は、残念ながら初めから備わっているものではありません。リードがそれを自然に作ってくれるわけでもありません。スポーツと同じで筋力トレーニングが欠かせない、それがアンブシュアを維持する力でピープセンがとても有効だと私は考えています。

ただし、歳を重ねるとともにどうしても吹奏感や抵抗感のあるリードが吹けないという例は出てきます。それまでアンブシュアを維持することについて「特別に意識して鍛えたことがなかった」ならばなおさらです。また、オーボエを始めたばかりの時もリードが強いと音が出ないということが起こります。これらの場合は「楽にすぐ音が出るリード」を選ぶことになります。オーボエを吹くことが苦しみになるべきではないですから。そのあたりは本当に人によって千差万別ですので「この抵抗感のリードを吹けるべき」という考えは私にはありません。

アンブシュアを維持する力の話に戻りましょう。もし身体的に余裕があると思われるのならば、今のうちにピープセンでアンブシュア維持力を少しずつつけていくことをお勧めします。貯金ならぬ貯筋です。その過程で、このアンブシュアなら良さそうという「自分にとって自然な形」を見つけていきそれを維持していけばどんどん演奏は安定していきます。一定期間練習できない時間があったとしても「こうすれば元に戻る形」がはっきりしているので、どう吹いて良いかわからなくなるということにはなりにくいと思います。

かくいう私も、1週間ほどどうしてもオーボエが吹けない期間などがあると、、、そのあとははっきりと「アンブシュアの感覚と筋力が落ちている。やばい、取り戻さないと」と思います。そのかわり、どういうアンブシュアというイメージはもうありますので少し時間はかかりますがまた元に戻ります。いつまで経っても、オーボエというのはトレーニングなしでは成立しない、厄介ながらもとても美しい楽器ですね。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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