前回の記事ではチューナーのことについてお話ししました。今日はそのチューナーを使って音程を合わせることについてお話ししようと思います。

みなさんは普段チューナーで自分の音(例えばチューニングの際のAまたはBの音)を合わせるときにどのような手順で行っていますか?チューナーの目盛りを基準にして自分が出した音を真ん中の目盛りに合うようにしていく、というのは確かにそうなのですが、その前に、音を出す前にもっと大事な作業があります。それは【どんなAの音を出すのか?出したいのか】きちんとイメージすることです。何度も経験を重ねるとどのようなAがぴったり合ったAなのかだいたいわかるようになります。その時のチューニングは【自分が正しいと思って、意思を持って出す音がちゃんと合っているかどうかチェックする】という感じになります。「出てきた音とチューナーが示す目盛りを真ん中にいくように合わせる」というのとは大きく違います。「意識された音と意識されていない音の違い」と言えるでしょう。ただ、最初の頃はどんなAの音が正しいのかイメージしにくいと思います。それでも、どんな音を、どんな高さの音を、どんな感触?どんな色?なんでもいいのです、今から出す【音に何か意味と意思と方向性】を持たせてあげてください。そして【意思のある音を出してみてチューナーと比べる】→【そこで目盛りとずれていたら修正する】→【修正した音を記憶にインプットする】という順番で音を出してみて音合わせの作業をしてみてください。もうその時点でみなさんの耳は鍛えられ始めています。【音程を合わせるという作業で一番大切なのは、意思のある音を出して自分の音を聞けて修正できる耳を育てる】ことです。
私が一人で練習して音程をチェックするとき、最近はこういうふうにしています。【最初に自分が正しいと想像するAの音なりBの音なりを吹いてみる】→そして次に【チューナーの音が出る機能で実際のAなりBなりの音を出してみる】→【その出た音と自分が出した音が同じかどうか耳で判断する】
これらのことから私が思う大事な点は
※どのようような音を出したいのか強く、鮮明にイメージする、音の高さ、響き、色、感触などキャラクターをつけてあげる
※最初はチューナーと比べて音がずれても構わないので、そこから修正し目盛りとぴったり合った音をインプットする。どんな響き?どんな感触?
※そのトレーニングを続けていくことでどんな音がぴったり合ったものなのか自分の中でイメージを作っていく
これらのことができるようになると、もうすでにみなさんが吹いている音は「意思のある、方向性のある音」になります。チューニングの時に「イメージが足りないただの音」と「意思のある、方向性のある音」を比べると周りの奏者にとって合わせやすい音はどちらであるかは歴然としています。そしてこのことはチューニングだけに限らず、そこから始まる演奏全てのことに対してとても大きな効果を発揮するようになるのです。音程についてのお話しはまだまだ続きます。今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年3月23日)