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【万人に合うリードではなく一人ひとりに合うリードということの意味】

私のリード製作のモットーは一人ひとりに合ったリードを提供するということです。そのために皆さま一人ひとりから詳しくヒヤリング(聞き取り)を行っています。

万人に合うリードがあるとすればそれは突き詰めると誰にも“パーフェクトに“合わないリードと言えるでしょう。人それぞれ唇の形や厚さ、骨格、歯並び、体格が違うからです。限りなく平均値に寄せたリードは結局何らかの理由で不具合が生じるものです。今回は私のリード作りのスタンス/考え方/やり方についてお話ししましょう。

リード製作者が良いと思うリード、それは製作者自身が吹いていて良いと感じるものです。では、そのリードは使う側にとっても完璧に当てはまるでしょうか。違いますよね。

リード製作者である自分がするべきことは、一人ひとりの状態、レベル、使用楽器、活動形態、今抱えている課題/問題があるならば詳しく聞いた上で「あなたにはおそらくこういったタイプが合うでしょう」というリードを提供することだと思っています。

では、そのやり方を続けている私のリード製作のスタイルは何百通りもバリエーションがあるのでしょうか。何十種類ものマテリアルを使い分けているのでしょうか。答えは「いいえ」です。

私が使っている材料、シェーパー、チューブ、これらを組み合わせての基本的な寸法の設定は固定しています。そこからどうやって一人ひとりに合ったものにしていくのでしょうか。

それは機能的な項目を削り方、残し方、どの部分をどれぐらい削るかという細かい調整で実現していくということです。機能的な項目というのは、すなわち「リードが適度に機能するための項目」です。具体的にいうと「発音」「音程」「振動」「抵抗感」「開き」のバランスです。そしてこれらの項目は材料、シェーパー、チューブを固定していても調整が可能です。いくつもの組み合わせがあります。

そしてここからがとても大事になるのですが「どのタイプでも、どの楽器でも、チューブでも、材料でも目指す機能的要素のゴールは同じ」ということです。固定されたマテリアルを使っても削り方などの調整で多くのバリエーション(タイプの違うリード)を実現させることができます。そしてそれを実現させるためには「お客さまの声」が重要な鍵になっていきます。

ですから私はお客さまに詳しく聞いています。「お使いの楽器は何ですか」「リードの吹奏感は何がお好みですか」「開き具合はどの程度が好きですか」「何か音程などの機能の問題をお持ちですか。」これらの項目は固定されたマテリアルでも十分に改善/解決が可能なものです。

私はありとあらゆる種類のアイテムを使いこなしているのでは全くありません。一種類のメーカーの材料、オーボエリードの材料は2種類のサイズの径、チューブは基本Chiarugi 2、Chiarugi2+、シェーパーは固定のものです。

これだけ固定されたマテリアルでも一人ひとりの事情や要望を叶えることは可能です。ですのでこれからも皆さまの「声」をお待ちしています。どんどんご希望をお聞かせください。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★