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【シェーピングのこと】ハンド用シェーパー(ハンドルシェーパー)の特徴と長所

長年、私は一種類のシェーパーのみを使っています。ハンド用のシェーパー(ハンドルシェーパー)です。型はミヒェル(以後Michelと表記します)の7.2というものでデトモルト音大で学ぶようになってこのシェーパーを使い始めました。音程が安定していること、自然な形でチューブにセッティングできることなどが気に入っている理由です。

今回、ドイツにある「オーボエショップ」というお店の方にこのシェーパーについての質問をしたのですが、加えてこのハンドルシェーパーの特徴および長所を改めて知ることができましたので皆さまにも共有したいと思います。(リード作りに唯一これだけが正しい、というものはありません。私のやり方をご紹介するのであって一つの例として参考にしてみてください)

私の質問内容は次の通りです。「Michel 7.2 ハンドルシェーパーと台座に設置してカットするタイプのRC 11 シェーパーは型が同じかどうか(サイズ表にはそう書いてある)」「Michel 7.2 の舟型ケーンと同じ型のものが欲しければ RC 11 チップを買い既に持っているシェーピングマシン(台座)に合わせれば良いか」というものです。

参考までにこちらがヘルトナーゲルのシェーピングマシン(台座)とそれに合うチップです(チップは付け替え可能)。この台座を持っていればあとはチップを買い足せば良いので新たにハンド用のものを買いそろえるよりも出費を抑えることができます。

ショップのFrosch氏の回答は次の通りです。

Roseau ChantantはRC11のチップをMichel 7.2をコピーしたものとして売り出しています。サイズは大体同じですが、完全に一致したものはやはりオリジナルのMichel 7.2 でしか作れません。理由は『ケーンがどのようなフォームでシェーピングされるか、それはMichelのようなケーンを折り曲げて取るハンドルシェーパーとRC, ヘルトナーゲル, Reeds n Stuffのようなマシンにケーンをまっすぐなまま置いて取るシェーパーでは全く異なるから』です。『ケーンを折り曲げるハンドルシェーパーは先端が比較的平坦になり、下部(チューブに接面する部分)は丸くなります。それに比べて台座に設置するタイプはどの部分も同じです』

これは私がずっと感じていたことと良く似ていました。Michelのようなハンドルシェーパーで取ったケーンの形はヘルトナーゲルのような台座タイプのシェーパーでは出せないだろうな、と。その理由が明確にわかりました。そして注目すべきはFrosch氏の次の説明でした。

『Michelのシェーパーだとそのような(下部が丸くなる)理由で結果的に隙間のできにくい、ピッタリと閉じやすい、チューブの丸みに沿った形に仕上げることができる』ということです。これも私がリードを作っていく上でとても大切にしているポイントの一つです。リードが窮屈に締め上げられるのではなく自然な形で閉じていきチューブにつながっていくことによって自然な振動(クロー)、適度な量の振動が可能になるからです。窮屈な振動、ましてや振動しにくいリードは機能的にも吹奏感の面でもとても苦しくなります。自然で適度な振動はリードにとってとても大事な要素です。見た目は下の写真のような感じです。

もちろんシェーピングの方法は何通りもあります。私が使っているタイプだけが正しいわけでは全くありません。例えば、リードが振動しにくい、サイドが閉じにくい、高音域の音程がぶら下がってしまう、、、という問題があれば、あるいはこのタイプは解決の糸口になるかと思われます。

ここからはおまけのお話しです。Frosch氏はMichelが最近売り出したアイテムも勧めてくれました。ハンドルシェーパーをオリジナル台座に固定してシュッシュと簡単に取れる驚きの発明品(!?)です。リンクと写真はこちらです。 https://www.oboe-shop.de/schneidhalterung.html

確かに、ハンドルシェーピングはかなり練習しないと上手く扱えません。これなら1から訓練する必要はなくMichelのシェーピングが可能になるわけですね。Frosch氏は実際に使ってみた様子をyoutubeのショート動画で投稿されています。とても便利ですね!ただしお値段もそれなりにかかりますが、、、

今回はシェーパーのことについて質問したことから思いがけず自分の中で改めて納得した部分、私がMichelのシェーピングを好んで使い続ける理由が明確にわかりました、というお話しでした。この質問のきっかけを作ってくださったYさま、ありがとうございます。今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。

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