Homeブログオーボエリード(作り)について

【材料】硬い?柔らかい?強い?弱い?どういうこと!?

リード製作のスタイルがある程度定着してくると、最終的には「やっぱりリードの良し悪しは材料の質なのよねー」となります。では、その材料の良し悪しは一体どういう基準で見分ければ良いのでしょうか。私自身の経験に基づく(私の好みの)お話しであって唯一無二の正解というわけではありません。可能性の一つとして読んでいただければ幸いです。

硬い材料、硬度計の数値、、、とてもよく用いられる判断基準です。が、、、(硬度計などでわかる)硬さって一体何の硬さなのでしょうか。それは繊維の硬さです(そして硬度計では完璧に測れないのが密度です)。繊維が硬いと硬い(金属的な)音になります。それに加えて繊維の密度がギュッと詰まっていると「音は硬質で強すぎる、鋼のようなリード」になります(これでは吹けません)。逆に繊維(材質)は硬いけど繊維の目が粗いと「音は硬いのにスカスカな音のリード」になります。

このことからわかるのは硬い材料が必ずしもしっかりとした音(芯のある音)になるとは限らないかもしれないということです。多くの人は「柔軟で芯のある、決して硬質ではない音色のリード」を好まれると思います。では、そんなリードを作るためにはどんな性質の材料が必要なのでしょうか。

柔軟で芯のある硬質ではない音に必要なのは「繊維の柔軟性と高い密度」です。写真を使ってご説明しましょう。

繊維の質が柔軟でない(=硬い)+密度が低い(=繊維の目が粗い)→硬質でスカスカの音になります。ちなみに、繊維の目が粗いというポイントだけに絞るとこちらの写真では真ん中と右側の材料が該当します。

繊維の質が柔軟である(=柔軟・フレキシブル)+密度が高い(=繊維がギュッと詰まっている)→柔軟で実の詰まった凝縮した音になります。上↑の写真でいうと左側にあたります。

ちなみに私は、上↑の写真でいう右側の材料は硬質で繊維の目が粗くしかも密度が高く鋼のような材料(だから私は使わない)、真ん中は繊維の目は粗そうで材質は少し白っぽくて柔らかそうな材料(だから私は使わない)、左側の材料は繊維の目は繊細で密度もギュッとしてとても良さそうな材料(だから私は使う)と判断します。

材料は硬ければ良い、というのではどうやらなさそうです。ということは、硬度計だけでは必ずしも私が求める材料の判別は出来ないようです。そこで大切になってくるのが「密度、強さ、張り」です。そしてそれをチェックしているのがこちらの動画です。

1時間ほど水に浸けたカマボコ型ケーン(材料)を動画のように曲げます。ケーンの跳ね返り具合をチェックすることによりそのケーンの強さ、張りの違いを判断しています。ギュッと詰まった密度の高い(強い)ものはピン!と跳ね返り、少し密度が低い(柔らかい、弱い)ものは跳ね返りは少なく曲がった形がしばらく保たれます。

私の製作するリードは、この動画でいう強めのケーンと弱め(柔らかめ)のケーンどちらも使います。強めの吹奏感リードが好きな方、弱め(柔らかめ)の吹奏感リードが好きな方と両方の需要があるからです。密度と張りを重視していますので、ガウジングの厚さは比較的薄めに設定しています。密度と張りがあり更にガウジングが厚いと、それこそ強すぎて吹けないからです。

硬めの音色が良いのか、柔らかめの音色が良いのか、強めの吹奏感が良いのか、弱め(柔らかめ)の吹奏感が良いのか、そこに重いリードは厚めに設定し軽いリードは薄めに設定という要素も加わります。自分が演奏したい音のイメージを持つこと、これを材料の特徴に表すならどの言葉を使えば良いか、、、。そういったプロセスで考えると自分の好み、自分にマッチした材料の性質・特徴が見えてくると思います。

この最後の太字の部分だけで言いたいことは完結しているのですが、その内容をどうにか文章化してみました。専門的な表現やややこしい書き方などが多かったと思いますがよくぞ最後まで読んでくれました!!ありがとうございます!

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★