とても調子の良いリードが出来上がりました。「吹き心地も良いし、音程も良し、響きも良い。わずかだけどズレがあるけどまあいいや」次の日、また次の日、吹いていくごとにどんどんズレがはっきりしてきました。「最初はあんなに調子良かったのに、吹くごとにずれてきて吹きにくくなったなあ」
このような経験、皆さんも多いのではないでしょうか。私はたくさんあります。そして最初は良いリードとして仕分けていたのですが、結局そのリードで本番を吹くことはほとんどありませんでした。リードがずれていること、リードがその後も少しずつずれていってしまうこと。最初の吹き心地がよかった分、結果的に使いにくくなってしまうのはとても残念ですよね。
どうしてこうなるのか?どうすれば良いのか?今日はこのことについてお話ししようと思います。
私の経験上、ずれているリードはほぼ確実に本番、特に長丁場になる本番や自分のコンサートで使うことはありませんでした。ー音程が上がってしまうー苦しくなるー振動しなくなるといった理由が主なものです。そしてこれらの原因はほぼ全て「ズレ」が原因です。ではなぜこうなるのか?
ー音程が上がってしまう→基本的に、幅が広いと音程は低くなり、幅が狭いと音程は高くなります。リードがずれることによって両サイドのリードが重なっていない部分が出てきて、実質その部分はフルに機能できなくなります。そうするとフルに機能できる部分の幅がどんどん狭くなるので、結果的に音程が上がっていきます。
ー苦しくなる→綺麗に重なっているリードの開き口と、ずれているリードの開き口を見るとよくわかるのですが、ずれているものは開き口が狭くなります。息が入るスペースが狭くなるので、結果的に必要以上に息が余ってしまい、苦しくなるのです。
ー振動しなくなる→ズレているリードは前述の通り振動する、機能する幅が狭くなるので、結果的にリード全体がスムーズに振動しにくくなります。その結果、吹き心地はどんどん重くなり、硬くなります。
【ズレていなかったら、音程が上がってしまうこともなく、リード全体が十分に振動するので苦しくなることもなく、振動もしっかりするので吹き心地も安定しています。】
注)吹き続けることによってリード自体が重くなる、硬くなるのは修正する(特定の箇所を削る)ことによって解決します。これはずれによる重くなる、硬くなることとは別の性質になります
では、ズレないようにするにはどうしたら良いのか?次に見ていただく写真のように、「シェーピングして舟形になったケーン を二つ折りにして針金でひとまず固定する」時に私はとても神経を使います。さらに二つ折りにしたケーン (プッペ)をチューブに固定する時も同様にとても神経を使います。
まずこの段階です。


写真のように、縦から見てもも横から見ても違う角度から見てもズレていないか確認します。この段階で少しでもズレていると、チューブに固定させるときにほぼ確実に小さなズレが反映されてしまいます。この段階で綺麗に重なっていると、チューブに固定する時も綺麗にしやすくなります。これは、デトモルト音楽大学のオーボエクラスの学生さんたちにリードレッスンをしていたときに、一番みんなが注意を怠っていたポイントでもありました。
もちろんその前段階のシェーピングも真っ直ぐにケーン を削ぎ落としていくのが大前提ではありますが、あえて今日このお話をしたのは、「とても大事なポイントだけれど見落としがちなこと」だと思ったからです。
参考にしていただければ幸いです。
Viel Spass und Freude am musizieren!!よろびと楽しみを持って音楽を★(2019年12月24日)