リードを仕上げていく段階、言い換えたらリードを仕上げていくのにかかる時間。私の場合は一気にリードを仕上げるということはしません。メイキングマシンである程度削っておいて、その状態のままおいておきます(ケースに入れて放置します)。そして完成させる段階になってナイフで薄くしていき、何日かかけてから完成させます。
ケーンはあくまで自然のもので削ったらそこから変化が生じてきます。その変化に応じて時間をかけて徐々に削っていき落ち着かせていくのが私のやり方です。一気に仕上げると、ケーン(材料)の変化が急激すぎるために、そのときは良い音が出るかもしれませんが、次の日になると大きく変化していることがほとんどです。激変したリードは劣化も早く、長持ちがしない、というのが私の経験から言えることです。
さて、今日のテーマです。
リードを半完成、音がきちんと出るまで仕上げて行った時に、私は必ず
先端部分は完成させる、少なくとも完成に近い数値のバランスに仕上げる
そして再びそのままの状態でおいておきます。完成させる手前で先端を仕上げてしまいます。仕上げるというのは
「薄くすることと、バランスをとること」です。
写真の左は、半完成状態のリードですが、先端部分は十分に薄く仕上げています。そして全ての段階ではありませんが、自分の目と感覚だけでは細かい差がわからない場合、私はキャリパーを活用しています。
どうして比較的早い段階で先端を仕上げるのでしょうか。
リードを振動させて音を出すために一番最初に振動する部分は先端です。まだ厚めのリードでも先端は仕上げます。そうすることによって
リードの機能の最初の一歩である「発音」部分である先端部分を仕上げることによって最初の課題、「スムーズな発音」がクリアできます。そして次に「どの部分に抵抗を感じるのか、重さを感じるのか判断しやすくなる」のです。
先端部分が分厚いままですと、どのみち上手く発音できずに爆発音的なスタートになってしまいます。硬い音、柔軟でない音にも繋がってしまいます。スムーズに発音できる状態を作ってあげることによって、その後にくる重さや抵抗を正しく判断できて、状況や要望に応じてその重い部分、抵抗のある部分を薄くすれば吹きやすいリードに仕上がっていきます。
リードを仕上げていくということは、どの部分から薄くしていくか、その順番を正しく理解する、ということでもあるのです。
引き続き、少しずつですが、完成リードの調整する際のポイントをお話ししていこうと思います。今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★(2020年6月29日)