リードを作っていく上で私はいつも「機能」を大切にしています。ホームページにも明記していますしX(旧Twitter)では何度も書いています。リードをご注文いただく時も「機能面でのリクエスト」を積極的にお伺いしているのですが、最近では多くのリクエストを書いて下さるお客さまが増えたように感じます。では、皆さんが気にされる「音色」は二の次なのでしょうか。いいえ、むしろ逆です。私が機能面を重視する理由は『リードを作る(具体的に削る)段階で「音色」を根本的に変えることは難しいから』です。どういうことでしょうか。

リードを削っていく段階になって機能のことをやかましくいう理由は、その時すでに材料は選び終えた状態だからです。音色の基本を作るのは材料の性質であって、いざリードを削る段階になって音色をどうにかしたい、と思ってもなかなか難しいのです。ですので、音色を重視して行う作業(材料選び)と機能を重視して行う作業(削る作業)ははっきりとわけて考えて取り組むと良いと私は思います。
ということは、最初の材料選びが非常に大事になってきます。このブログの記事でも初めの頃に書いたものがありますので参考にしてみてください。一つ目の記事はオーボエリード用の丸材をざっくり選別する方法、二つ目の記事はイングリッシュホルンリード用の丸材を詳しく選別していく方法で、これはオーボエリード用の丸材にも同じことが言えます。
音色の良いリード、柔らかい音色のリード、暗い音のリード、、、これらは皆さんが望まれる要素で、それを叶えるには材料を非常に厳しい目で選ぶ必要があるというわけです。そしてそこから先は「機能、すなわち音程、音量の幅、開き、振動、抵抗感」などの要素に気をつけて取り組みます。これらの要素を達成したら初めに選んだ材料の性質がポジティブ要素として加わって、いわゆる「自由に演奏できる好みの音色のリード」になるわけです。文字で書くのは簡単ですが実際これらの条件を全てクリアさせることはなかなか難しいですね。そのための「リード・ワンポイント・こんな時どうする!?」という内容の記事も多く書いているのです。

補足になりますが、音色について多少の修正で変えることができるのは「音質が少し硬い時」「音がベーっと直接的すぎる時」という状態のリードをでナイフで該当する箇所に少しだけ手を加えると改善されます。ですが、音色自体はそれほど変えられません。
これが、音色と機能は別のものとして考えるべきという理由でした。今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。
Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★