イングリッシュホルンについてあれこれと書いてきました。今回がこのシリーズの最後になると思います。『音程が安定して、鳴り方の出来るだけ均一なリード/ボーカル』を作る/選ぶ時に何に注目しているのでしょうか。私なりの考えです。

その前に、しつこいようですがなぜこのポイント『安定した音程と均一な鳴り方』がそんなに大事なのか。それは、基本的な機能が自由にこなせると、そこから先の「自由な演奏と表現→あなたらしい音と音楽」が実現しやすくなるからです。

さて、まず私はどんなタイプのリードを選んでいるのか?シェーパーはヘルトナーゲル95番です。幅に関しては割と中庸だと思いますが特徴は下に向かってキュッと狭まっている事です。寸胴ではありません。私にとっては、リードの下部分(糸の巻き上げあたり)が寸胴だと音程が不安定になってしまいます。特に第2オクターブのFis、G、Gis(運指)がふらつくようになります。大きい音は出やすくなりますが、ここは音程重視です。また、柔らかすぎる材料でも同じような現象が起こります。材料はなるべく硬めの張りのあるものを選ぶようにしています。

次にボーカルです。さまざまなものを試してきましたが、最終的にはMönnigのオリジナル金メッキ2番を使っています。形としてはロレーと似ていると思います。私の経験では、ボーカルの径が太いと真ん中のCを伸ばしてディミヌエンドした時に「ドー....↘️」と音程が下がってしまいます。また、第2オクターブのFis、G、Gisも不安定になりがちに...
逆にボーカルが細すぎると高音の響きが細くなってしまいます。さらに第2オクターブのGあたりから上の音域がうわずってしまう可能性があります。この辺りは自分の楽器と吹き方に合わせて選ぶ必要があるのかな...と思います。

音程に関してのまとめです。私がイングリッシュホルンを吹いてきて「気にするべき音程」がいくつかありました。上にも書いていますが、もう一度。①真ん中のC、②第2オクターブのFis、G、Gisです。①に関してはディミヌエンドをして行った時に音程が下がらないもの。②に関してはシェーパーの幅が広すぎたりボーカルが太すぎたり、リードの材料が柔らかすぎるとふらつく傾向になりやすいことがわかりました。
鳴り方の均一性についても補足です。逆説的に書いてみましょう。鳴り方が不均一だと、吹いている本人が思う以上にホールで聴いた時に鳴り方のバラつきがよく分かるのです。上にも書いている通り「第2オクターブのFis、G、Gis」の不安定な音程、そしてそこから上に向かうA〜Cの音量が狭くなっていく... 本当によくわかります。そして、イングリッシュホルンはそれらの音たちが大活躍するソロが沢山ありますよね。新世界、ラヴェルのピアノ協奏曲、プッチーニのトスカ...

さて、この辺りで私がお伝えしたいことは全て書いたのかな...と思います。ちなみに、今私が作っているイングリッシュホルンのリードですが... 欲を言えばもう少し硬めの材料が欲しいな、と思っているのです。今持っているものでも十分良いのですが... 作り方はもう分かっているのであとはもう少し硬質の材料が... どなたかご存じでしたら教えてください(苦笑)。作り方や用いるアイテムがだいたい定まってくると、より一層材料の質というのは大事になってくわけですね。

最後まで読んでくださってありがとうございました。
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