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【リード・こんな時は】④リードが十分に振動しない

お客さまからの質問に対して答えていくコーナーです。前回は、リードが十分に振動していない時は「木(葦)の部分がチューブの先端と重なる箇所で、リードが自然な形で閉じていくのが好ましい」「シェーパーの形やチューブの形状・大きさによって『全長』は変えても良いのでは」という内容でした。この他にもいくつか方法があります。リードを十分に振動させるために出来る具体的な事は何でしょうか。

(前の記事の最後にサラッと書きましたが)糸巻きの時に糸がチューブの先端とぴったりの位置、もしくは少し短めの位置にあるか、非常に重要な事です。糸がチューブの先端を超えていたら、鶏の首を絞めたような「キーキー」という硬い音になり振動も十分しなくなる可能性があります。

次の方法です。リードの根本は自然な形で閉じているのだが、それでもイマイチ振動の具合が足りない気がする....こんな時は「スクレープをほんの少し延長してあげる」ことも有効な手段です。スクレープが短すぎると(私の場合は10mm以下だと)振動がしっかり下まで伝わらないために硬い響き、キーキーした音になる傾向があります。スクレープをほんの少し長くする、一つの可能性として参考までに。

次です。リードが十分に振動していない時の原因で多くあるものが「リードがずれている」ということです。リードが左右にずれている場合、はみ出した両側部分は振動しきれていないことになります。結果的にリードの機能している(振動している)面積はとても細くなり音に柔軟性が無くなり、果ては音程まで上ずってきます。

私の経験を通してですが、どんなに材料の質が良くても私は今まで「ずれたリードを本番で1番良いリードとして吹いた事」はほぼありません。何故か?ずれが進んでいくと状態が変わりどんな感じになるのか予測がしにくい事、音程が上ずって(変わって)いきどれぐらい高くなっていくのかこれも予測が難しい事...要するに機能として落ち着かないからです。ずれてくると振動する面積が減って重くなるように感じるため全体を軽くしていきます。そうすると今度は開きが失われてきます。それを防ごうとずれを直したら直したで今度は振動しすぎてバランスも崩れて音程はおかしくなるし軽くなりすぎた音に変わってしまう...

これは自作のリードに限らず完成リードにも言えることだと思いますが、意図してずらす場合を除いて初めからずらしたくて作っているリードは余り無いと思います。ですので少しずれたかも、と思ったらその都度指で修正していく、針金を巻き直すなどの対策も考えられます。

この「ずれ」については詳しく書いた過去の記事があるので参考になさってください。ずれないためにはどうすれば良いかという内容です。

https://kozuki.de/blog/oboe-reed-making/572.html

さて、リードが十分に振動していない時にどういう手段を取れば良いか、私なりの考えをお話ししてきました。原因や対策は多くあります。それだけ「健康的に振動するリードを気持ちよく吹くこと」がどれだけ大事かということですね。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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